裏銀座縦走1日目 移動日(屋久島→大阪→名古屋→松本→信濃大町)
2008年9月25日(旧HPのものをブログに移植しました!)
本当に久しぶりとなる研修旅行だ!
過去2年間、通訳案内士の試験のために封印していた旅行が遂に解禁になった。
行き先は北アルプスの「裏銀座ルート」と「ジャンダルム」を初めとする穂高連峰を繋げる縦走ルートだ。
予定では、6泊7日になるが天候待ちも入れるともう少し長くなるだろうか・・・。
そうそう、今回の旅の相棒は屋久島でのガイド仲間である「山岳太郎」の太郎ちゃんだ。
旅行で友達と登山を一緒にするのは初めてだ。
普段のパートナーはウチの奥さんなので♪
そんなこんなで、初日からN700系に乗りたい!なんて盛り上がり、数本待って最新のN700系に乗ってきました。
個人的には九州新幹線の「つばめ」がやっぱり日本一だな、うん。でも、かっこよかったぞ。
裏銀座縦走2日目(高瀬ダム→烏帽子岳)
ここでちょっと前日の続きを。
飛行機・電車と乗り継ぎ、ようやく長野県の松本に到着。
うちらは飛行機に乗ってきたせいで、まだガスを持っていない。
松本で買わないととても信濃大町に登山用品店があるとは思えないので店を探す。
コンビニででかいザックを背負っている人に尋ねてみると、タクシーで30分程の所にカモシカスポーツが在ると…。
予算的にかなりそれは厳しいので、困ったときはお巡りさん♪
駅前の交番で、登山用品店を尋ねると色々と調べてくれて歩いて5分位の所で見つかりました。
本当に親切なお巡りさんだったなぁ。
あの人がいなければ、初日の内にガスは買えなかったと思う。
お巡りさん、ありがとう~。本当に感謝してます!
その後は、信濃大町で「梟(フクロウ)」という檄ウマの居酒屋で最後の贅沢をして、二日目の早朝からタクシーで登山道入口にあたる高瀬ダム(写真)に来ました。
思えば、この時点でかなりの興奮でしたから、テンション高かったのでしょうね(笑)
タクシーの運転手さんに別れを告げ、いよいよ登山開始。
トンネルを抜けると吊橋が出てきてそれを渡る。
渡ってしばらくの所で水汲み場があるはず。
ここで水を各自4Lずつ持って行く予定だ。
しか~し、前日からの雨であえなく濁っている…。
プラティパス(容器)の中をフワフワ~っと…。
これを4L持って行く価値があるのだろうか?答えはNOという事で、無念ながら烏帽子小屋で雨水を購入することに。
とりあえず、今日の行程で必要な分として各自2Lだけ持って行くことにした。
さぁ、いよいよ登山開始だ!
雨は降っているものの、普段とは違う森にテンションは最初から全開(笑)
北アルプスで三大急登と呼ばれているこのブナ立尾根。
一体どんなもんでしょう。
今回の登山に向けて通常のツアーでも余計な水をガッツリと背負って歩いていたので、多分大丈夫だと思うのだがやはりちょっとは不安になる。
ジャンダルムも超えるので、今回は準備もきちんとしてきたつもりだ。
「知らない」という事が一番の不安なのだが、それが一番「楽しい」事でもある。
何より雨に濡れたブナの森が美しい!
まさしく瑞々しいこの森を歩けるだけで、正直幸せだった。
「ブナ立尾根」とは良く言ったものだ。
立派なブナがあちこちで見られ、「三大急登」なんてくだらない看板でこの尾根が形容されている事がすごくもったいないと思った。
この立派なブナに囲まれていたら、疲れるよりも癒される方が先だ(笑)
連れの太郎ちゃんと、あ~だこ~だ言いながら観察しつつ、一歩一歩を噛みしめて歩く。
はぁ~気持ち良い♪
ブナをはじめ、カラマツやシラビソ、ダケカンバを見ながら歩いていくと、足元にこんな球果が落ちている。
チョウセンゴヨウのものであろうか??
こんな時にこの地に詳しい人が居ればと思うが、まぁ仕方が無い。
ヤニが多く、いじっているとすごく良い香りがする。
森の爽やかで冷たい空気と妙に合う。
二人してこの球果について色々と可能性を探るものの、決定打にはならずまた歩を進めて行く(笑)
林床にはこんな植物も!マイヅルソウだ。
見て下さい、この実。
何と言っても白と赤の地球儀みたいな実がかわいい!
この後、下の実のようににまっ赤になっていくのですが、これがまた美しい!透明感のある赤。
「まるで宝石のようだ!」とはまさしくこの事ですな。
<北アルプスに持って行くならこのサイズと使い易さが便利>
ダケカンバの美しい肌が目立つ尾根道を歩く太郎ちゃん(笑)
このルートは登山口から小屋まで番号がふってあり、No.12から始まってNo.0の烏帽子小屋まで続く。
標高差1,200mを12個で区切ってあるので、だいたい2個事に休憩を挟み、太郎ちゃんと前後の順番を変えて歩いた。
お腹が空いたら前日に買ったパンやおやきを食べるという作戦で、特に昼食時間は設けなかった。
寒い時期だし、コンスタントに歩いているから体も楽だし、長い距離を歩くときにはうってつけの歩き方なのだ。
しかしまぁ大きくえぐれたものです。
尾根にある登山道も、木々がかろうじて支えているといった感じでした。
紅葉がちらほら見え始め、途中で烏帽子岳も望めました!
でも、この天候では今日烏帽子岳に行くのは止めて、明日の早朝に行く事にした方が良さそうだな~。
ウヒョヒョヒョヒョ♪妖怪ではないですよぉ~。
この美しい紅葉の前におかしくなっているだけです(笑)
まぁ、なんとも見事な紅葉です。
このルート上で一番鮮やかなポイントでした。
しばらく撮影タイムをとり、二人で感嘆の声をあげておりました。
こういう感動を分かち合っている瞬間って幸せですよねぇ~♪
楽しく歩いていると、どんどん看板の数字は減っていき、あっという間に小屋に着いてしまいました。
歩き始めたのは7時前位だったので、昼ちょい過ぎには着いてしまいました。
二人して、「急登」だったかねぇ??
な~んて言いながらも、渋すぎる小屋を見ながら、「どうする?テントにしようか?」「でも、天気も悪いし時間も凄くあるから、小屋にしようよ」なんていう会話をして、結局小屋に泊まることにしました。
本当なら烏帽子岳に行って遊んでから、戻ってテントの予定だったんですけどね。
ちなみに、この烏帽子小屋。
外見はボロイけど(すみません…)、小屋の管理人の方々は本当に親切。
物静かだけど、さりげない温かさがあり、気配りもまた行き届いている。
私の想像する山小屋とはまさにこういう感じでした^^
実は、ちなみに避難小屋とテント以外に泊まるの初めてなのです♪
今回はお勉強の意味も含めて小屋泊をしてみようと事前に話していたのです。
小屋の女性が「寒いので…」と言って温かいお茶を出してくれた。
小屋の中は、確かに風が抜けるので寒い。
でも、ここは標高2,500mを超える場所だ。
こんな所で、雨風しのげてしかも椅子に座って休める。十分な幸せである。
宿泊客は合計で3名(笑)私達は駆け込みでの泊まりだったが、もう一人は予約をして来ていた。
雨でびっしょりになり、相当疲れ果てていた。
小屋では乾燥用にストーブをつけてくれて、その方はずっとそこで暖をとっていた。
次の日に、あの濡れたカッパとザックを身につけなくても良いと思うと、本当に感謝した。
途中から窓の外の景色は雪に変わり、夕日に染まる厚い雲が明日の烏帽子岳への期待をしぼませていった。
裏銀座縦走2日目(烏帽子岳→野口五郎岳→鷲羽岳→三俣山荘)
朝起きると辺り一面雪景色…。
あちゃ~、初日からこれかぁ。
これってルート分かるかなぁ…。
窓から雪景色を見ながら、今日のプランを練り直す。
烏帽子岳に行くかどうかで迷ったが、やはり行こう!となった。
急いでサブザックの中身を再確認して、用意を調えたらいざ出発!
小屋の横の森の中はこんな感じ。樹林帯なら全く雪の影響は無さそうだ。
まぁ、歩くのは稜線だけどね(笑)
稜線はこんな感じ♪
白っ!
しかし、風は強くて冷たいけど、何とも良い空気感である。
とにかく気持ち良い。
ここで、一気にテンションが上がってきました。
積雪は大した事は無かったので、ルートも何とか追える感じでした。
地図で細かくチェックしていかなくても大丈夫な位です。
う~ん、モノトーンの世界はやっぱり最高!
いよいよ山頂直下の鎖場だ。
足場はよく滑るが、慎重に行動するという意味では通常と変わらない。
表面に雪が軽く積もっている程度で、しかもまだ凍っていないのでスパイクやアイゼンは付けないで登ることにした。
鎖があるおかげで、大分安心して歩ける。
落ちるのだけは嫌だ!(笑)
山頂部は強風な上、景色も無いので雰囲気を楽しんだら直ぐに下山を始めた。
下り始めると少し景色が見え始めた。
時折、南側の方へ景色がストンと抜けることもあり、天気が好転するかもと期待♪
写真では分かりにくいが、烏帽子小屋から奥へと伸びる大きな稜線が見え、今日これから歩くルートに胸を躍らせた。
太郎ちゃんと、「最高だねぇ~」を連発して浮かれていたら、更に浮かれる事になる事態が!
ナント突然雲がどき、晴れ間が覗いてきたのだ!!
風が強いので岩に寄りかかり撮影。
初めての晴れ間だったので、かなりのはしゃぎっぷりだったと記憶している。
浮かれすぎて、時間を使いすぎたことが後の行程に響くとはつゆ知らず…。
でも、太郎ちゃんとならば時間的調整は楽なので「今」を十分に堪能した。
・・・。
まだ堪能中・・・。
見えているのは赤牛岳だろうか。
存在感のある山容だ。
気になる(笑)
小屋に戻った後、遅めの朝食。
この時点で、急いだ方が良いことを自覚。
でも、朝食は大事なので急いで用意する。
コーヒーをのんびりと飲みながら(自覚減:笑)
食後、準備を済ませて小屋の方にお礼を言ってから小屋を出る。
さぁ、二日目の出発だ!
今日はしんどい登りはさほど無い。
でも長い!
三俣山荘までの長めなコースだ。
三ッ岳あたりに来ると、紅葉が絨毯のように眼下に広がる。
良い時期に来たなぁ~。
とにかく気持ちの良い、スケールの大きな縦走路だ。
やっとそのスケールの大きさを実感し始めた。
途中で紅葉を眺めながら一つめのおにぎりを食べた。
昆布おにぎり…。
神様、おいしいおにぎりをありがとう。
野口五郎岳までが想像以上に長かった。
正直、もう少しサクッと辿り着くかと思っていた。
途中は爆風で、ザックカバーがちぎれそうな程だった。
何とか野口五郎岳の山頂が見え、少しホッとした。
体力は問題無さそうだが、時間が少~し気になる(笑)
どこまでも続く縦走路が見える。
遠くには水晶岳が黒くそびえている。
眼下には池もあって、景色には事欠かない。
展望があって本当に良かった。
この区間は余程天気が悪くない限りは歩く予定でいたのだが、景色が無いと結構つまらないだろうなぁ。
天気が良くて本当にありがたい!
イワギキョウであろうか。
季節を過ぎ、何とかその姿を留めているものの、いささか元気が無いように見えた。
うつむき加減のその姿を更に下から覗いてみたが、心を開いてはくれなかった。
そっとしておいてと言っているような気さえした。
あとは日暮れまでに着けば良いだけなので、安心だ。
鷲羽岳への稜線もぐんぐん近づいてきた。
緩やかな谷がドッシリとした山容とまたよく似合う♪
目の前には水晶岳が大きく見え、ジワジワと登り詰めると水晶小屋が見えてきた。
2007年に改修されたばかりで、とても綺麗だった。
最初はここで一泊する予定だったが、小屋の営業期間が2日ほど前に終わる事が事前に判明。
テントも期間外はダメとの事なので、諦めた場所だ。
後になって小屋で聞いたのだが、閉鎖になっているのを知らずに訪れて、なんと追い返された人がこの日いたらしい。
事前に調べない方が悪いとはいえ、余りにも気の毒な話である。
時間があれば行きたかった水晶岳を今回は諦めることにした。
時間的にも無理そうだし、時間に追われて登るくらいなら楽しくないので登らなかった。
また来れば良いのだ。
次回は、雲ノ平から水晶岳に出て、赤牛岳…と早くも妄想をしていた(笑)
岩場の多いワリモ岳(2,888m)にさしかかる。
フッと足元を見ると、岩の間に小さな体を強風で小刻みに揺らしているやつがいる♪
タカネシオガマであろうか…。
背丈も5cmに満たない程である。
この強風が吹き付ける中、ひっそりとまだ花を咲かせていてくれた。
時期的にもここまでは余り花に出逢わなかったので、すごく嬉しかった。
よくぞ待っていてくれた。
冷たい風が顔に吹き付け、またもや目出帽(銀行強盗の人がよく被っているようなやつ:笑)を装着♪
今回、もっとも活躍したアイテムの一つかも。
そして、二日目最後の山となる鷲羽岳(2,924m)に到着。
いやぁ、良く歩いた。
写真に写っている部分の稜線をずっと歩いてきた訳ですからね。
そりゃぁ長いはずですよ。
何とか時間内に収めることが出来てひと安心。
それにしても、この鷲羽岳。
遠くから見る山容も見事ながら、山頂からの景色は最高のひと言。
見ます?見たいですか??(笑)
次の写真をご覧ください。
どれだけ、天気に恵まれたかも♪
どうです、この景色!
火口湖である鷲羽池の向こうには鋭く尖る槍ヶ岳が。
そして、写真右奥へと派生する北穂高岳やジャンダルムを擁する西穂高岳。
いよいよ、今回の山行のメインイベントが視界に入ってきました。
どこまでも連なる山々。
一時は雪で心配した二日目も、南下する形のルートどりなので途中からは全く心配することなく、空に溶け込みそうな稜線上のお散歩を心ゆくまで楽しめました。
もう言うこと無しです♪
鷲羽岳から三俣山荘まで下っていく途中、雲ノ平方面の谷が紅葉と沈みゆく太陽で彩られていました。
何という美しさでしょう…。今
回は岩稜帯を中心とするルートが目的なので、立ち寄ることは出来ませんでしたが、是非行ってみたいと思わせる場所でした。
いやぁ、本当に綺麗だった。
こんな陳腐な言葉しか出てこないもんです。
だって本当に綺麗なんだもん(リピート:笑)
赤い屋根の三俣山荘が見えてきた頃、ちょうど太陽が山の裏側に消える前の輝きを見せていました。
太郎ちゃんも太陽によって告げられる一日の終わりを噛みしめているのでしょう。
それとも、お腹が空きすぎて晩ご飯の事を考えているのかなぁ(笑)
二人共々、今日という幸せな一日を北アルプスの大地で過ごせた事に感謝した一瞬だと思います。
最後の陽を浴びる稜線を横目に、三俣山荘に到着。テント泊の手配を済ませて、暗くならないうちにまずは急いでテントをたてる。
今回は、6泊7日の予定で、しかもジャンダルムを通るのでザイルやハーネス、ヘルメットも念のため用意した。
だから、食料を減らす意味でも小屋をある程度利用する方向でいた。
この日の夜も、夜ご飯だけお願いした。
まぁ、良く食べましたよ(笑)
漬け物だけでご飯一杯、お味噌汁で一杯、おかずで・・・。
もの凄くお腹が空いていたので、もの凄く食べました(笑)
小屋はとても綺麗で、スタッフも好感が持てる若い人達が多く、人気がありそうでした。
鷲羽岳の麓ということもあり、テントも私達以外に3張り、小屋の宿泊客は25人くらいはいたと思います。
裏銀座縦走3日目(双六岳→西鎌尾根→槍ヶ岳→槍ヶ岳山荘)
昨晩はたらふく食べて、夜の語らいをしたらすぐに寝てしまった。
寝る前に翌日の行程を話し合っている時間が私は結構好きです(笑)
4時頃には起きて、朝ごはんの準備。
コーヒー飲んで、朝ごはん食べて、装備を調えて。最後にテントを畳んで、三日目のスタートです。
まずは三俣蓮華岳(2,841m)を目指す。
体を慣らしながらじっくりと歩を進める。
山頂まではあっという間だが、黒部五郎岳(2,839m)を目の前に望むその景色はなかなか良い。
尖った山容も良いが、ドッシリと大きな山容もまた魅力的だ。
あの山もいつか登りたいな(ニヤリ)。
ここから、なだらかな稜線を双六岳(2,860m)に向けて歩いていく。
山頂自体は特に感動を覚えるものは無かったが(笑)、山頂から槍ヶ岳方面へ伸びる広くゆるやかな稜線は印象的だった。
この尾根は、どこから見ても分かり易い尾根で、覚えておくと後で山座同定する際に便利である。
<花の百名山・双六岳を歩くなら是非ポケットに♪>
双六小屋でありがたい無料のお水をゲットし、樅沢岳への少し急な登りを詰めていく。
しばしダラダラと歩くところが続いたので、シャキッとして良かった。
個人的には良い景色が広がっていない限り、あまりダラダラと歩くところは好きではない。
若干低くなっていたテンションも上がり始め(笑)、樅沢岳(2,755m)の山頂付近でひと休み。
すると、どこからともなく小さな声がする。
「人か…??」そんな風にも思えたが、次に聞いたときは後ろから声がして、しかも明らかに人の声では無い。
しばらく見ていると雷鳥さん発見♪
ビックリさせないように、少しずつ、でも着実に近寄る。
ありがたいくらいにのんびり屋さんで、撮影時は意外と助かりました♪
ライチョウさんを観察出来た場所の周りには、恐らくハイマツと思われる球果が食い散らかされていた。食べているのを見たかったなぁ。
遠くにそびえる槍ヶ岳までの長大な西鎌尾根。
今日の終着地は槍ヶ岳山荘だ。
周りの景色は申し分なく、今まで歩いてきた所がはるか後ろへと続いている。
二日前に反対側から見た場所を今まさしく歩いている。
何度も言うがスケール感のある本当に良いコースだ。
一般的か?と聞かれるとその長さ故に誰にでもお薦め出来る感じでは無いが、特に技術が必要な所では無いので体力を付けて、気象判断を間違えなければあまり問題無い場所と言える。
ただ、落ちれば終わりか、重体は避けられないだろう。
風が強いので、防寒対策は必須だ。
荒天時には歩きたく無い所である。
雷なんて避ける場所無いもんね。
そういう意味では、秋から初冬って良いかも♪
途中、風裏になる場所を見つけてやっと休憩。
一つのお弁当を2回に分けて食べ、これが二回目。
軽く疲れが出た場面でもあったかな。
温かい紅茶と、ご飯を補給してまた元気になったけどね。
ここを通るなら双六小屋に泊まって次の日抜ける方が安全かもね。
良く体力と相談してください。
うちらも多少は疲れましたからね。
途中から少し雲が出始めたけれど、雲が溜まる程では無かった。
太郎ちゃんの背中に若干の哀愁が漂ってます(笑)
これ、良い写真でしょ??
歩いて歩いて…。
槍ヶ岳の肩への登りへと取り付く前に後ろを振り返る。
今まで歩いてきた西鎌尾根がはるか向こうへと続いている。「この尾根、長いなぁ~」なんて言いながら、思わず笑ってしまった。
最後の登りを詰めるとそこは槍ヶ岳山荘。
アホみたいにデカイ?
あんた槍ヶ岳の穂先より目立ってない??って言いたくなった。
もしくは言った(笑)
太郎ちゃんにテント泊&晩ご飯の手続きをしてもらっている間に、俺はテント場所選びに。
風が強いので、直接風が当たらない場所をゲットしないと!!
急いで行くと、テントがひと張りだけ(笑)
さすがにベストポジションを抑えていた。
だが、まだまだ良いところはあったので安心して地面を整え、テントを作り始めた。
太郎ちゃんも合流してテント設営後、カメラだけ持って槍ヶ岳を登りに。
槍の穂先は、ハシゴだらけで面白みは正直無かった(安全の為やむを得ないのだが)。
この山の醍醐味は、遠くから空にそびえる槍の穂先を眺め、憧れ、そこに目指して一歩一歩進んでいるときにあるのかもなぁと思った。
山頂には神様がまつられ、日本海側をバックに鎮座する姿はやはり信仰の対象となる山のオーラがある。
後から上がってきたご夫婦とも話を交わし、山頂からの景色を楽しむ。
大分雲も出てきて、どうやら明日から天気が崩れるようだ。
いよいよ核心部分なのに・・・。
ちなみに、これが山頂から槍ヶ岳山荘を見下ろした図。
写真中央左に緑のテントが二つあるけど、左の濃い色のがうちらのテント!
軽く雪も舞い始め、夜は寒そうだなぁ。
ペットボトルで湯たんぽ作って寝ようっと。
ところで、私達はテントを張るけど夜食を頼んだのは前述の通り。
太郎ちゃんがその二つを頼みに行くと、「テントの人でしょ?夜食は高いよ!良いの?」と聞かれたそうだ。
うちらはお金が無いからテントを張っている訳ではない。
一部あるけど…(笑)
山の雰囲気を静かに感じたいからテントで泊まっているのだ。
こういう勘違いをする人に、正直山小屋をやっていて欲しくないと思った。
うちらを担当した人がたまたまそうだったことを願うばかりです。
色々なサービスは提供するが、肝心な「山を愛する心」が無いなんて本当にがっかりさせられた。
裏銀座縦走4日目(大喰岳→南岳→上高地)
四日目の朝。
昨晩は湯たんぽのおかげでよく眠れた。
3,000mでの生活も大分慣れてきた(笑)
いつもの手順で準備を整え、テントまでたたむ。
手が寒くてメチャメチャ痛い。
進路に目を移すと大喰岳(おおばみだけ。3,101m)はうっすらと雪が積もっている。
まだ降り止みそうにないなぁ。
北穂高岳への大キレットを通過予定だが、まず無理だろう。
昨晩、一応エスケープルートを考えてはおいた。
問題なのは大キレットが「どの程度」なのかが、事前に調べた感じでは分からなかった事だ。
他人の感想もあてにはならないし。
こういう時は、この地での経験がモノを言うよなぁ。
まぁ、無い経験を悔やんでもしょうがない。まずは歩きだそう!
大喰岳までは全く問題なく歩けた。
静かに降り積もる雪が、疎ましくもあり、嬉しくもあった。
来た道を振り返れば、槍ヶ岳とその肩にある山荘が良く見える。
視界が良いのはラッキーだ。
中岳へと向かうにつれて、どんどん雪が積もり出す。
すこしベタッとした雪だ。
台風も接近していて、寒冷前線がこちらまで押し上げられる可能性もある。
向こう2,3日は絶望だろう…。
最も安全に通過したかった場所だったのに…。
とりあえず、南岳(3,032m)まで足を伸ばそう。
そしてそこからひと目だけ、北穂高岳(3,106m)を望んでおきたい。
そう思った。
いつかまたこの山を訪れるときのために…。
岩の上に積もりゆく雪の上には、ライチョウの足跡が♪
動物や、その痕跡を見ると不思議と心が温まる。
一方で、この先自分の目的を果たせないことを少しずつ受け入れなくてはならない。
あ~、悔しいなぁ。
大キレット、いつか通ることがあるだろうか…。
雪はまだまだ降り続け、この先は南岳まで行ったら折り返してこの下の天狗のコル、天狗原を通って、上高地までの道を下りていく事にする。
この雪と接近する台風では、大キレットを通過してもジャンダルムを抜けるのはまず無理であろう。
太郎ちゃんとの話し合いの結果、一旦下りて松本まで戻り、天気の回復を待った上で荷物を軽くしてジャンダルムに挑もうという事になった。
無念なので、未練タラタラで南岳小屋まで行き、展望を拝んできた。
圧巻だった…。
岩壁に雪が吹き付け、黒い塊のような北穂をうっすらと白く包んでいる。
何人も寄せ付けないような佇まいがたまらなく好きだった。
晴れの時に見たら全く違った印象になったのであろう。
でも、この時期に来たおかげで雪化粧の北穂を見られた。
目の前に大きく横たわる黒い山塊。
この北穂の表情が見られた事は本当に救いになった。
これだけで、今回は満足して戻ろう。
そう自分に言い聞かせた。
ちょっとおまけになるが、南岳小屋には小屋のご主人が毎日発表する大キレット日和指数なるものが張り出されている。
この日は、3.5だった。
あくまでも判断は各人がするものだが、どこか微笑ましく面白かった(笑)
ご主人のお人柄を垣間見た感じがした。
小屋もこじんまりとして良い感じで、いつか北穂高岳に登るときはテントを張りたいなぁと思った。
さて、長~く引かれる後ろ髪をバッサリと切って下山を始めるとするか(笑)
上高地まで一気に下りる予定なので、結構な距離がまだ残っている。
上高地までの道は、まぁ長かった。この下りで使ったルートは次回からはちょっと遠慮したい。
良く整備され、歩きやすく、所々に小屋があって便利そうだがいかんせん単調だ。
最終のバスに間に合わせるべく、二人して黙々と歩く。
さっきまで最高に高かったテンションはどこへやら…。
太郎ちゃんも私のローテンションぶりにビックリ。
あんなに嬉々としてずっと歩いていたのにって(笑)
キツイのは楽しめる、けど単調はいかん(笑)
トリカブトの一種(オクトリカブト?)が見られてほんの一瞬だけ持ち直したけどね。
しっかし、良く間に合わせたもんです。
無事に松本まで戻り、おいしいもつ鍋を食べながら乾杯し、早くも西穂高岳の話で盛り上がりました。
天気が回復する三日後あたりに挑戦してやる。穂高連峰よ、待っていろよ~!!
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