何も求めなくなっている自分がいる…
そして、アラスカの大地だってただただ無機質に広がっているだけだ。
でも、そこで感じられる空気感がとてつもなくたまらないのだ…。
Arrigetch Peaksの針峰群最深部で見つけたカリブーの角、それをかじったげっ歯類の噛みあと…そんな形跡だけがここに動物の息づかいをかんじさせている
6日目の朝
寒いと思えば、目の前の山には積雪があった。
それでもこの辺りは山の上と違って風があたらないので、昨日まで居た場所に比べれば体感温度的には大分マシに感じた。
大分慣れてきたせいもあるだろうが。
それにしても、テントの入口を開けるとこの光景である。
たまらない!雲がかなり山々を覆っているので、アリゲッチ針峰の峰々を見られる可能性は低そうだ。
なかなか快晴になることは無いので、しょうがないか。
さぁ、ごはんを食べて出発だ。
川を上流に向けて歩き続け、ついに大きな分岐に出会った。
ここを右に進路をとれば、一つ越えてすぐに氷河にぶち当たるはずだ。
地図上でもそうなっているし、一部が既にここからでも見えている。
左に進路をとってもまた最後は氷河だ。
どう行っても、結局氷河で終わるのである。
左に回った方が歩きやすそうなので、左の川を上っていくことに。
どこまで行くとは決めていないので、自分の中で線を引かなくてはならない。
まずは一段高い所に行って周りを見てから決めよう。
丘に上がると、カリブーの角があった。
頭蓋骨付きなので、ここで息絶えたのだろう(トップページの写真はココです)。
角の先はネズミなどの齧歯類にかまれて、小さくなっている。
それでも相当な重さだ。
この旅で3つ目のカリブーの角だが、これが一番完全な形で残っていた。
これがカリブーの角か…。彼らにも会ってみたかった。
だが、その夢は叶いそうにない。
でも、時こそ違えどこの場所に確かにカリブーはいたのだ。
不思議と感覚がオーバーラップして、どこかこのカリブーに逢えた気がした。
カリブーの角を後にし、奥へ奥へと導かれる。なかなか線を引くというのは難しい。
ちょっと先が見えては、またその先が見たくなる。
この先に見える一枚岩の下を詰めていけば氷河に出くわすはずだ。
どこまで行こうか…。
さすがに氷河の上を歩くだけの準備はしていないので、そろそろか…。
それでも「あと少しだけ…」と足を進めていく。
氷河から絶えず流れてくる水で、小さな池みたいな場所が出来ていた。
この辺りなんかクマが好みそうな場所だが…。
彼らにもまた会いたい。会うと恐ろしいが、でも会いたい。
これが正直な気持ちだろう。
ちょっとしたオアシスのような雰囲気を醸し出したこの場所が、私達の引き際を教えてくれたのかもしれない。
す~と気持ちが落ち着いた。さぁ、戻ろうか…。
こうして静かに6日目は終わった。
[button-yellow url="https://pockets.jp/blog/2019/07/05/alaska-arrigetch-peaks-day7_8" target="_self" position="center"]いよいよ最終章[/button-yellow]