アラスカ【Arrigetch Peaks】ゲーツ・オブ・アークティック国立公園9日間のキャンプ旅(Day4)

なかなか青空が顔をみせない。

冬も近い北極圏ということを考えると、よくは分からないが当たり前のようにも感じた。

 

中央ブルックス山脈に内包されるArrigetch Peaks だが、原油採掘で揺れ動く政治的に危うい場所でもあり、時代を超えてこのままの姿で居て欲しい場所である

 

4日目

起きて遠くを望めばブルックス山脈の山々が見渡せるではないか!

朝からいきなりハイテンションだ。

 

山の頂を雪で覆われたブルックス山脈がその姿を見せた壮大な風景写真

 

今日の予定では、テント場はそのままにしておき、デイパックで辺りを散策することにした。

地図を見るとテント場の周りにもう2つ湖があるらしく、その辺りも見つけてみたい。

そんなには遠くないはずだ。

そうそう、地図といえばコンパスだが、昨日の晩ザックの奥底から出てきました…。

お恥ずかしい…。

それにしても何故?普通は天蓋に入れておくんだけどなぁ、と照れ隠しをしてみたりして。

そう、それともう一つ。

小さな割れ目が入ってしまっていたガスストーブ。

これもマット補修用キットとストーブのリペアキットをうまく合わせて使い、何とか漏れを止められたのだ。へへへ。

今日がすがすがしい訳だ(笑)現時点で、不安要素は全く無くなったわけなのだ。

 


 

アリゲッチ針針峯と呼ばれるだけあって、空を突き刺すように尖った岩峰のアップ写真

 

朝ご飯を食べて、お昼用のサンドイッチを作っているとずっと隠れていた岩峰が、姿を現した。

うひょ~!コレだよコレ。

針のように突き出た山々からなるのがこのArrigetch Peaks(アリゲッチ針峰)の最大の特徴だ。

先住民ヌナミウトの言葉では、「天に向かってそそり立つ指」を意味するらしい。

まさしくその通りの容姿だ。

このまま顔を出しておいてくれ。

身支度を整えて、いても立ってもいられず、そそくさと歩き始めた。

まずは一つ目の湖を目指そう。

 


 


 

差し込んで来た陽が、大地で氷に覆われていたその姿を少しずつ溶かしているアップ写真

 

雲がさらにとれてきて、陽が差し込み始めた。

するとずっと静かにしていた植物たちが、急に息が吹き込まれたかのように活き活きとし始めた。

小さなその体に重くのしかかる雪の結晶も、同時に最後の輝きを手に入れていた。

もうすぐそこまで冬はやってきている。

パイロットのディックも、私達が今年最後のお客さんだと言っていた。

もうすぐ、ここは何もかもが白一色で覆い尽くされてしまうのだ。

 


 

原野に米粒ほどにしか見えない緑のテントと広大な風景写真

 

再び湖を求めて尾根を登り始めた。どうやらこの尾根を越えた向こうにあるらしいのだが・・・。

ふと振り返れば、我が大切な基地(テント)がち~さく見えるではないか。(写真右端近く、ほぼ中央の緑色の点)

あまりにも大きくて距離感が分からない。

これはアラスカで毎回感じることだ。

日本の中を歩いている感覚とは大きなズレがあるのだ。更に、地形図。

これも日本は通常25,000 分の1の縮図が普通だ。ガレ場や小さなコルなども細かく出ている。

しかし、アラスカ(アメリカ)の地形図は大抵63,330分の1が普通なのだ。細かさは 3分の1になってしまう。

さらに、メートル法で描かれている地図が少ない。

このエリアもフィートを使っている地図しかなく、感覚を掴むのに苦労した。

おまけに、最後の測量が1970数年とくれば・・・。

サークル・レイクの形なんて、思いっきり変わっていたし。昔は本当に円形をしていたようだ。

昨日湖を発見した喜びはこの辺の要素も大きく関係してのことだった。

 


 

足元をちょろちょろと流れる小さな水の流れ沿いだけまだまだ緑が濃い苔が元気に生えている写真

 

足下にチョロチョロと水が流れている。

そのせいで、苔の種類もまわりの物とはちょっと違って、緑が鮮やかだ。

苔を見ると、屋久島を思い出す。遠い所に来てしまったものだ(笑)

今頃屋久島は夏の残暑で暑いんだろうなぁなどと思った。

屋久島の夏の終わりがアラスカ北極圏の秋の終わりだ。

まさかこの時期に来られるとは思っていなかった・・・。

来れてよかった。本当に良かった。

 


 


 

真っ青な空に、針のような山が飛び出し、その2つを静かな湖面が鏡のように映し出している写真

 

感謝しながら、岩だらけの尾根を登っていくと、息をのむ光景が目の前に・・・

なんと美しいのだろう。

空の色、山の色、地の色、水に映る色。そして凛とした空気。

自分の中の「感覚」が踊っているようだ。

どんなに綺麗な物をみても言葉にしてしまうと、多少なりとも色あせてしまう。

だから、口から出てくる言葉は非常に決まり切った言葉なのだが、それ以外に言葉が無いからそう言っているだけであって、心は違う感覚で包まれている。

 


 

足元には地衣類が大地を埋め尽くしていて、中には鮮やかなオレンジ色のものも目立つ地面を写した写真

 

壮大なものを見ると、小さな物にも目が向くから不思議だ。

足下の苔やら地衣やらも壮大な景色に負けず劣らずの彩色だ。

冬場には、カリブーたちの食事にもなることがあるらしい。

これを食べても生き延びていく動物たち。

私は自分がここで生きていくことは不可能だと思った。

先住民のように動物を捕って食べることも無理だろう。

それにこの地では動物の密度が低い。

現に、大きな哺乳類には初日の飛行機上から見たムース3頭以外見ていない。

そう、出会うことさえ難しいのだ。

先住民は何百年とここで生き抜いてきた「知恵」がある。

これが無くては彼らとて生きてはいけないのではないだろうか。

文化・技術・知恵の継承とはつくづく大事なものなのだと改めて思った。

 


 

景色の見渡せる小高い場所で、2人座って遠くを眺めている遠景写真

 

先ほどの湖の奥にある尾根に登ってみると、もう一つの湖も見えた。小さい・・・。

間違いなく春は雪解け水でもっと大きな姿をしていることだろう。

ここが緑に覆われている頃にも来てみたいなぁ・・・。ふとこんな想いが脳裏をよぎった。

「きりがない」。そうなのだ、キリがないのだ。

でもそれでいいではないか。

そういう想いこそが、この旅を実現させたのだ。

想っていれば実現するというものでもないのは分かっている。

でも、想っていなければこんな地球のはしっこに我ら屋久島に住む人間が立つことはなかったのだから・・・。

 


 

クマのフンの横にはまだ何種類かの花が残っていて、クマの糞と花を1つの写真に収めた

 

一度テント場に戻るものの、もう少し歩きたかった。

今度は反対方向にあてどもなく歩いてみる。

すると、小さな尾根に囲まれた一角に、まだまだ緑が残っているではないか。

確かに、ここは風が当たらなそうな場所だ。

草も動物たちによ~く食べられている形跡がある。

もちろん、クマのうんちもある。

この小さい植物のオアシスのような場所に、4種類ほどの花が残っていた。

まさか花が見られるとは思ってもみなかったので、とても嬉しかった。

写真はMountain Freabaneだと思われるがどうであろうか。

さて満足した所で、テントに戻るか。明日はまた移動日だ。

 

 

 


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