キバナウスキムヨウラン〜屋久島の里山に咲く菌従属栄養植物〜
和名 | キバナウスキムヨウラン |
学名 | Lecanorchis kiusiana f. lutea |
科名 | ラン科(Orchidaceae) |
観測日 | 2020.5.15 |
観測標高 | 盗掘防止のため未発表 |
何度か登場している菌従属栄養植物(mycoheterotrophic plant)と呼ばれるラン(蘭)の仲間です。
この菌従属栄養植物の仲間は、菌根を通して菌類から栄養や水をもらって暮らしています。
植物が植物である1番の特徴である、自分で光合成によってエネルギーを作り出すことをやめてしまったタイプですね。
自分では光合成をしないで、菌類から栄養を貰って育っているランですので、葉さえ必要ありません。
今回紹介しているキバナウスキムヨウランは、似た種にウスキムヨウランというのもありますが、こちらの種の方が圧倒的に黄色い花(キバナ=黄花)が特徴です。
探していても、見つけやすいです^^
とは言っても、目を皿のようにして歩いてないと間違いなく踏みます!
暗い照葉樹林の中、マッチ棒並みに細くて、しかも大抵は茶色とか地味な色の多いこの手のランを見つけるのは本当に手間暇かかります。
なにより、探している時に踏んでしまわないようにスゴく気を使いますからね。
私が見た個体ではだいたい20cmくらいまでのものが多かったです。
写真を撮った日は小雨が降っていたので、森の中は真っ暗。
また微妙に風が吹いていて、このか細いランはすぐに揺れてしまい、シャッタースピードがかなり遅いというのもあってすぐにブレてしまいます。
1箇所で結局1時間ほど座り込んで撮ってますが、なかなか思い通りの写真は撮れません…。
もちろん、腕の問題はあります(笑)
写真を撮りおわる頃には、だいたいヤマビルにやられてますね(^^;)
でも、この時期にしか顔を見せてくれないランですし、5月にこれだけ時間を気にせずにランと向き合える機会もありません。
ジックリとこのキバナウスキムヨウランと会えた事に感謝です。
梅雨のようにジメジメとしたこの日、森の中に一歩踏み入れると森の香りが炸裂してました。
どこかから漂う甘い花の香り、そしてちょっとむせるような重いマテバシイの花のにおい、そして湿った土や落ち葉からたちのぼる香りが複雑にミックスされていました。
そんな暗くて、ちょっとジメッとした森の中に静かに花の時期を迎えているキバナウスキムヨウランのご紹介でした。