いよいよキャンプも4日目。
毎日が楽しく、ワクワクしているので、毎日がとても濃密だ。
なのに、時間は静かに大きなうねりのように流れて行く。
不思議なものだ。
Wonder Lakeのまわりを取り囲むカンスゲの綿毛が揺れる尾根歩いたり、野生動物に出逢ったりしたキャンプ4日目
6月10日
待望の晴れだ!
まだマッキンリーは見えないものの、期待できる。
キャンパーバスに乗ってWonder Lakeという湖の反対側で下ろしてもらうことにする。
今日は、Wonder Lakeを取り囲む山の上をず~と歩いて反対側のキャンプ場に戻るというプランだ。
バスを降りた所で辺りを見回すと、何やら見晴らしの良さそうな山があるではないか。
若干予定を変更して、ちょっと登ってみることにした。
ブッシュをかき分け、道無き道をどんどん上がっていくと、やっと頂上に到着した。
雲が多くてマッキンリーは見られないものの、Wonder Lakeを一望できてとても良い所だ。また太陽があると本当に暖かい。
蚊の大群に囲まれつつも、無視してゴロリと横になってお昼寝タイムである。
蚊の飛ぶ音と風の通り抜ける音だけがする。
気持ちが良い・・・。
ここでず~っと寝ていてもいいなぁと思うほど気持ちが良かった。
しかし、今日はこの正面に見える尾根を歩く予定なのだ。
ここはまた時間を見つけてこられるし、天気の良いうちにあの尾根を歩き通してしまいたい。
そう思うと、重い腰もス~ッとあがり、一路尾根へ向けて出発である。
フラッと立ち寄った山だったが予想以上に気持ちが良くて大満足であった。
下山しようとした時、小道を発見。
どうやら道らしきものがあったらしい(笑)
こういうパターン、私の山登りにはよくあります(笑)
そこをたどって下りていくと本当に楽に下山できた。
次回はこちらから登ろう・・・。
尾根に出るまでは地図を見ながら登っていったが、一旦尾根に出てしまうと非常に平らで見通しが良い。
これならしばらくは地図を見なくても歩いて行けそうだ。
足下には、カンスゲの群落が広がっていて、その綿のような姿がかわいらしい。
カンスゲが風で揺られているのを見ていると自分もそこで横になってみたい衝動に駆られてきた。
そして、横になってみるとカンスゲが目線に見えてよりかわいらしい。
幸せな気分になりつつ、目を閉じる。
大して長い時間では無かったと思うのだが、本当に気持ちが良くすごく落ち着けた時間だった。
起きてテント場へ引き続き歩いていく途中も、ムースの糞を幾度も見たり、雷鳥を見たりも出来た。
テント場へ下りていく時にブッシュ帯を抜けた時以外は思った以上に、スムーズに行けた。
お勧めのコースだ。
この日は19時からレンジャープログラムが開催される予定だったので、私も参加してみた。
広大な景色を背景に、デナリ(マッキンリー)登山の歴史を話してくれて非常に興味深かった。
私の中では、あの植村直己が1984年に冬期単独初登頂を果たした後、遭難した山として非常に印象に残っている。
冬のデナリ・・・。
私などでは想像がつかない世界が広がっているのだろう・・・。
特に昔の登山者はブルックス山脈を越えて入山したらしく、キャンプ地点にたどり着くまでが一番大変とさえ言われていたらしい。
また、なかなか全容を見せることのないマッキンリーは、アメリカがロシアからアラスカを買い取った時には地図にさえ載っていなかったようだ。
ネイティブの人だけがよく知った山だったと言えるのだろう。
(写真手前の年配のご夫婦がこのテントサイトの管理人です)
レンジャーの話を聞いていると、突然オスのムースが平原を通り抜けようとしているではないか!
しかもかなり立派なオスである。
オスでは体重600kgを越えることもある世界最大のシカの仲間だ。
我々の興奮とは裏腹に、静かに森の中に消えていった。
走るムースの姿は非常にゆっくりなのだが、実際は結構速い。
足がかなり長いのでストライドも大きいのだ。
レンジャープログラムに華を沿えてくれた珍客に感謝だ。
レンジャープログラムが終わり、夕食をすませてしばらくのんびりしているとツンドラ帯が赤く染まり始めた。
この時間帯が最も綺麗な気がした。
今日は太陽が出ていたにもかかわらず結局マッキンリーは見られなかった。
仲の良かった仲間達が明日このテントサイトを後にしていく。
なんとかみんなにマッキンリーを見て欲しいなぁと思った。
明日の朝起きた時が、最後のチャンスだ。
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