南アルプス縦走 7日目|塩見岳を越え、鳥倉登山口へ下る最終日

夜明けの尾根をたどり、南アルプスを歩き終える
7日目の朝。まだ空に星が瞬く中起き、いつものように淡々と用意を調えて出発。もちろん外は真っ暗で、ヘッドランプを点けての行動開始。迷わないようにだけ気を付けながら、尾根をめがけて登っていく。
塩見岳(しおみだけ)までは、基本的に稜線歩きだ。そしてその途中には、阿部荒倉岳(あべあらくらだけ)・新蛇抜山(しんじゃぬけやま)・北荒川岳といった山々があまり高低差のない尾根で繋がっている。楽しそうな稜線歩きだ♪
まだまだ真っ暗だったので、阿部荒倉岳へ通じるちょっとした横道が見つけられなかった。せっかくだったので山頂も通っていきたかったのだが、どうしても暗い中では見つけきらなかった。登山道から5-10分離れた所のはずなのだが・・・。まぁ良い。山頂を踏むのが目的ではない。むしろこの夜明けのトワイライトの中を歩く方が醍醐味がある!
そろそろ夜が明けるなぁ~。

そんな風に思っているのも束の間。モノトーンの世界からフルカラーの世界へと変わっていく。朝日が白根山脈を越えてこちらの塩仙尾根まで届き出す。
眩しい朝日に照らし出され、その裏側には強烈な陰影が出来ているので、太陽を直接見なくても朝の感じが伝わるのではないだろうか?どこまでも蒼く抜けるような空の下、しばし顔に朝日を浴びてその温かさを楽しむ♪う~ん温かい。

まだまだ横から差してくる朝日を浴びて、ダケカンバとナナカマドが目立つ尾根を歩いていく。いよいよ遠くに塩見岳が見えてきた。いよいよ今回の山行で最後の山となる塩見岳だ。早く登ってみたいような、まだ辿り着きたくないような・・・。でも、この気持ちの良い尾根歩きをやっぱり楽しみたい。

北荒倉岳を抜けて少し行くと展望の良い場所に出た!塩見岳も目の前にど~んと見えるぞ!!しかし、右手の深い谷からは猛烈な風が吹き上げてくる。日が当たっていても寒い。地面に横たわるようにして休憩するのだが、景色が良いのでジッとしていられない(笑)結局、風をもろに受けながらウロウロし続ける。
眼下には街も見える。長野県の伊那市だろう。うちらが歩いている塩仙尾根は長野県と今いる山梨県の県境にもなっていて、塩見岳を越えると静岡県なのだ。
食糧事情にも余裕が生まれたおかげで、お菓子も節約せずにたっぷり食べることができたし、そろそろ出発だぁ。太郎ちゃん、行こうかぁ~♪

猛烈な風が西側から吹き抜けていく。防寒用のカッパがバタバタと煽られてうるさい。ふと左を見ると、「うわっ、富士山だ!」(笑)雲海の向こうに富士山の頭が飛び出している(笑)本当に富士山という山は画になる山ですね。その姿の美しさには本当にため息が出ます。
思えば、白根山脈のむこうに野呂川を有する深い谷があり、その奥に鳳凰三山を有する大きな尾根がある。そこからぐるりと歩いてここまで来たのだ!雨の多い山行だったが、富士山とは意外と縁があったなぁ♪対照的だったのは北岳か(笑)晴れた状態で見たことないもんなぁ…。まぁ、今回の旅を象徴していて良いではないか。

富士山に見とれたり写真を撮ったりして、再び歩き始めた時であろうか。ウェストベルトの所にあるカメラをしまう時に偶然シャッターを切ってしまったようである。気付くと写っていた写真なのだが、なんか妙に気に入っている(笑)
何とも言えない雰囲気がこの写真にはある気がするのだ。今見ても、この場所にスッと戻れる気がするそんな一枚だ。輪ゴムがぶら下がっているのは、これでガバガバになっているケースの蓋を抑えているのです(笑)

遠くから見ると急に感じた最後の登りも実際はそうでもなく、無事に山頂に到着。山頂には、このあたりの山を良く歩いている男性と会い、話がはずむ。軽装な感じだが、明らかに山慣れた感じがプンプンする(笑)
色々と南アルプスの山の話を聞いたり出来て良かった。話が弾んでいる間にも、塩見岳山頂には何人かの登山者が上がってくる。日帰りはアクセスの点からも難しいと聞いていたのだが、そうでもないようだ。
山頂までは写真を撮ったりのんびりとしたりしたのだが、山頂では他の登山者の方達と話をしたりしただけだった(笑)よって、山頂からの写真が一枚も無い(笑)ま、そんなもんです♪
いよいよ急なガレ場を下りまくると、やっとシラビソの低木の中に。振り返れば、あっという間に塩見岳の山頂が遠くに・・・。な~んか寂しいねぇ。

思いっきり後ろ髪を引かれながらも、振り返っては歩き、振り返っては歩き(笑)ついには塩見岳の姿もいつの間にか見えなくなってしまった。蒼い空とダケカンバの白く光る木肌、そして黄葉の黄色にハイマツなどの緑。全てがハッキリクッキリ。

そうそう、実は途中の三伏峠小屋から一緒に歩く仲間が増えた。塩見岳の山頂で出逢った男性がうちらが下りる鳥倉登山口からマイカーで入山していて、近くの駅まで送ってやると言うのだ。
うちらとしては、小屋からタクシーでも呼んで帰ろうと言っていただけにものすごい嬉しく、助かるオファーだった。すごく感じの良い方で、山が好きでよく登りに来るらしい。
一旦は山頂で別れ、途中で追いつかれるのは目に見えていたのでまた会おうと言って別れたのだった。小屋からは三人でグングン下る。シラビソの美しい森が広がり、林床を苔が覆っている。

急な斜面を見上げるとこんな感じだ。林冠は紅葉や明るい日差しで賑やかなくらい明るく、林床は苔でしっとりとして静かだ。ちょっとのんびりと歩きたくなり、三人体制を解除(笑)ひとりのんびりと歩いて行くことに。もう最後の最後なので、な~んか急にそんな気分になったのでした。

太郎ちゃんとその男性が待つ登山道入口まで辿り着きいよいよ山行は終わった。男性と共に車が駐めてあるゲートまで歩き続ける。かなり距離がありそうだ。林道脇の紅葉も色づき見応えがある。てくてく・・・。
やっと車まで辿り着き、レガシーに乗り込む。なんとスバルの技術屋さんで、自分もフォレスターに乗っていると話が弾む(笑)面白い出逢いというのはあるもんだ。
車でも30分以上はゆうにかかる林道を下りて、更に駅まで送ってもらった。お礼を言い、ちょっと気持ちを渡して別れを告げた。今回の山行では人との出逢いに恵まれたねぇと太郎ちゃんと話しながら、今晩泊まる宿を探しに行った。

翌日はお互いフリーの一日とし、私は去年も遊びに立ち寄らせてもらった旧知のお客さん宅へ弾丸ツアーに行った(笑)。Sさん、Tさん、その節はお世話になりました。
変更となる飛行機便の手配をしたりと慌ただしく一日が過ぎ去り、お世話になったSさん宅から朝早くTさんに駅まで送ってもらって、一路空港へ。新幹線を降りた後も道路が渋滞で、急遽ローカル線とタクシーを乗り継いで何とか滑り込みセーフ!
旅の締めは、静岡富士山空港からフジドリームエアラインに乗ることだ!鹿児島までの直行便があって便利なのだが、ここに辿り着くまでが便利ではなかった(笑)雨の中、無事に屋久島まで何とか辿り着き、旅は幕を閉じた。去年の北アルプスに続き、最高の南アルプスの旅でした♪来年はどこに行きますかねぇ♪



